Session 3: 実践応用 — データ分析とさらなるユースケース
セッション概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所要時間 | 120分 |
| 目的 | CSVデータの分析・可視化をClaude Codeで行い、コアユースケース以外の業務活用の可能性を広げる |
| 前提条件 | Session 0〜2を受講済み。Claude Codeの基本操作(プロンプト入力、ファイル読み書き)ができる |
| 参加者の到達目標 | CSVデータの分析と可視化をClaude Codeで実行でき、自分の業務に応用できるユースケースを具体的にイメージできている |
事前準備(講師向け)
必要な環境
-
参加者のPC
- Claude Codeがインストール・認証済み(Session 1で完了)
- ターミナルが使える状態
- Webブラウザ(生成されたHTMLファイルの確認用)
-
サンプルデータの配布
sales-data.csv(売上データ、100行、12ヶ月分)customer-survey.csv(顧客満足度調査、50行)- 配布方法: GitHubリポジトリからclone済みのフォルダに含まれている想定。あるいはUSBメモリ、ファイル共有サービス等で配布
-
Pythonの確認
- Claude Codeがデータ分析時にPythonを自動実行するため、参加者のPCにPythonがインストールされていることを事前確認
- 必要なライブラリ(pandas、matplotlib等)はClaude Codeが自動でインストールするが、ネットワーク環境によっては事前インストールが望ましい
リハーサルチェックリスト
- サンプルCSVファイルが参加者の作業ディレクトリにコピーされている
- 講師のPCでサンプルデータの分析デモが正常に動作することを確認
- HTMLファイルがブラウザで正しく表示されることを確認
- Pythonとライブラリのインストール状態を確認
- プロジェクター/画面共有が動作することを確認
- Wi-Fi接続が安定していることを確認
タイムテーブル
1. 前回の振り返り(5分)
講師の発言例:
「前回のSession 2では、Claude Codeを使ったリサーチと資料作成を体験しました。 Web検索を使った情報収集、Markdownでの資料作成、そしてGitHubへの保存まで 一通りできるようになりましたね。 今日は、もう一つの強力な活用法——データ分析に挑戦します。 Excel作業を思い浮かべてください。あの面倒な作業が、どう変わるかを体験しましょう。」
やること:
- 前回の宿題やその後の活用状況を簡単に共有(挙手 or チャットで)
- 今日の流れを概説
2. データ分析入門(45分)
2-1. デモンストレーション(15分)
講師がライブデモを行う。
画面共有でターミナルを表示し、以下のようにClaude Codeに指示する:
claude
> sales-data.csv を読み込んで、以下の分析をしてください:
> 1. 月別の売上合計を計算して表示
> 2. 商品カテゴリ別の売上構成比
> 3. 売上が最も高い月と低い月
デモ中に解説するポイント:
-
Claude Codeが自動的にやっていること
- CSVファイルの中身を読み取る
- Python(プログラミング言語)のコードを自動生成する
- pandas(データ分析用のツール)を使って計算を実行する
- 結果をわかりやすく整形して表示する
-
参加者に伝えること
「今、裏側ではPythonというプログラミング言語が動いています。 でも皆さんがプログラミングを書く必要は一切ありません。 日本語で『何を知りたいか』を伝えるだけで、 Claude Codeが必要なプログラムを自動的に作って実行してくれます。 これが従来のAIチャットとの大きな違いです。」
-
Excelとの比較
「同じ分析をExcelでやろうとすると、 ピボットテーブルの設定、SUMIF関数の記述、グラフの作成… 慣れた人でも15〜20分はかかる作業が、 一言の指示で数十秒で完了します。」
2-2. 技術の仕組み(簡単な説明)(5分)
講師の発言例:
「仕組みを少しだけ説明します。難しい話ではないので安心してください。」
ホワイトボードまたはスライドで以下の流れを図示:
あなたの指示(日本語)
↓
Claude Code が理解
↓
Python コード を自動生成
↓
あなたの PC上で 実行
↓
結果を表示
補足説明:
- Python(パイソン): データ分析で世界中で使われているプログラミング言語。皆さんが書く必要はなく、Claude Codeが自動で書いて実行する
- pandas(パンダス): Pythonの中のデータ分析専用ツール。Excelの高機能版のようなもの
- matplotlib(マットプロットリブ): グラフを自動生成するツール
- 重要なポイント: データは皆さんのPC上で処理される。外部のサーバーにデータが送られるわけではない(Claude Codeがコードを生成し、そのコードがローカルで実行される)
2-3. ハンズオン: 売上データの分析(25分)
ステップ1: サンプルデータの確認(3分)
参加者に以下を実行してもらう:
claude
> sales-data.csv の中身を見せてください。最初の5行と、全体の概要(何行あるか、どんな列があるか)を教えてください
講師の補足:
「まずはデータの中身を確認します。何が入っているか知らないと、何を分析すべきかもわかりませんよね。 これはExcelでファイルを開いて眺めるのと同じステップです。」
ステップ2: 月別売上推移の分析(7分)
> sales-data.csv の売上金額を月別に集計して、推移がわかるように表形式で表示してください。
> 前月比の増減率も計算してください。
講師のTips:
- 結果が出たら「どの月が一番売上が高いですか?」と参加者に問いかける
- 「もし上司に『なぜ6月の売上が高いのか調べて』と言われたら、次にどんな分析をしますか?」と考えてもらう
ステップ3: 商品カテゴリ別の分析(7分)
> 商品カテゴリ別に、売上金額の合計と構成比を計算してください。
> また、各カテゴリの月別推移も表示してください。
講師のTips:
- 「どのカテゴリが稼ぎ頭ですか?」と確認
- 「季節によって売れ方が違うカテゴリはありますか?」と掘り下げ
ステップ4: 異常値の検出(8分)
> このデータの中で、通常と比べて売上金額が極端に高い、
> または低い取引を見つけてください。
> 異常値と判断した理由も説明してください。
講師の発言例:
「異常値の検出は、不正取引の発見や入力ミスの発見にも使えます。 通常なら統計の知識が必要な分析ですが、 Claude Codeに聞くだけで結果を出してくれます。」
2-4. データプライバシーに関する注意事項(3分)
講師の発言例(重要):
「ここで一つ、非常に大切なお話をします。 今日使ったのはサンプルデータ(架空のデータ)です。 実際の業務データを扱う際は、以下のルールを必ず守ってください。」
スライドまたはホワイトボードに記載:
| ルール | 説明 |
|---|---|
| 個人情報を含むデータは慎重に | 氏名、電話番号、メールアドレスなどの個人情報を含むデータを扱う場合は、社内のデータ取扱規程を確認する |
| 機密データは社内ルールに従う | 経営数値、未公開の財務データなど、機密性の高いデータの取り扱いは上長・情報セキュリティ部門に確認する |
| Claude Codeのデータ処理の仕組み | Claude Codeは指示の理解にAI(クラウド)を使うが、生成されたPythonコードの実行はローカルPC上で行われる。ただし、プロンプトにデータの内容を含めた場合、その部分はAPIを通じてAnthropicのサーバーに送信される点に注意 |
| 安全な使い方 | ファイルパスを指定して「このファイルを分析して」と依頼する方法が、データの内容をプロンプトに直接貼り付けるよりも安全 |
3. データ可視化(25分)
3-1. グラフ・チャートの自動生成デモ(10分)
講師がライブデモを行う。
> sales-data.csv のデータを使って、以下のグラフを画像ファイルとして作成してください:
> 1. 月別売上推移の折れ線グラフ
> 2. 商品カテゴリ別売上の円グラフ
> 3. 地域別の売上比較棒グラフ
> 日本語のフォントを使って、見やすいデザインにしてください。
デモ中に解説するポイント:
- 画像ファイル(PNG)として保存されること
- 配色やレイアウトも指示で調整できること
- 「もっと大きく」「色を変えて」「タイトルを追加して」など追加指示が可能
3-2. HTML形式のインタラクティブ可視化(5分)
講師がライブデモを行う。
> sales-data.csv のデータを使って、インタラクティブなダッシュボードを
> HTML形式で作成してください。
> マウスを当てると詳細が表示されるグラフにしてください。
> ブラウザで開けるHTMLファイルとして保存してください。
講師の発言例:
「HTMLファイルをブラウザで開くと、マウスを当てると数値が表示される インタラクティブなグラフになっています。 これはメールに添付して共有したり、社内ポータルに貼り付けることもできます。」
生成されたHTMLファイルをブラウザで開いて表示する。
3-3. ハンズオン: 分析結果をグラフ化する(10分)
参加者に以下のいずれかに取り組んでもらう:
課題A(基本):
> sales-data.csv から、販売チャネル別(オンライン・直販・代理店)の
> 月別売上推移を折れ線グラフにしてください。
> グラフは画像ファイルで保存してください。
課題B(応用):
> sales-data.csv と customer-survey.csv の両方を分析して、
> 以下を含むHTMLレポートを作成してください:
> - 売上の月別推移グラフ
> - カテゴリ別売上の構成比
> - 顧客満足度の項目別平均スコア
> 見やすいレイアウトにしてください。
講師のTips:
- 早く終わった参加者には「グラフの色やタイトルを自分好みに変えてみましょう」と促す
- うまくいかない参加者には、エラーメッセージをそのままClaude Codeに伝えるよう案内
「エラーが出ても大丈夫です。エラーメッセージをそのままClaude Codeに見せれば、自分で直してくれます」
4. さらなるユースケース紹介(30分)
4-1. ユースケース紹介(15分)
講師の発言例:
「ここまで、リサーチ・資料作成・データ分析と、主要な活用パターンを体験してきました。 ここからは、それ以外にも業務で使える場面をご紹介します。 どれも皆さんの日常業務に直結するものです。」
ユースケース1: 議事録の整理と要約
デモまたはスライドで紹介:
> 以下の会議メモを読み込んで、次のフォーマットで整理してください:
> - 議題
> - 決定事項
> - アクションアイテム(担当者・期限)
> - 保留事項
>
> [会議メモのテキストを貼り付け、またはファイルを指定]
ポイント:
- 文字起こしツール(例: Google Meetの自動文字起こし)の出力をそのまま整理できる
- 箇条書きのメモでも構造化してくれる
- 議事録作成の時間を70〜80%削減できる可能性
ユースケース2: 業務マニュアルの作成・更新
> 以下の手順メモを元に、新入社員向けの業務マニュアルを作成してください:
> - ステップごとに番号を付ける
> - 注意点やよくあるミスも記載する
> - スクリーンショットを挿入すべき箇所を [スクリーンショット: ○○の画面] と示す
>
> [手順メモをファイルで指定]
ポイント:
- 口頭で教えていたノウハウを文書化できる
- 既存マニュアルの更新(差分の検出・反映)にも使える
- Mermaid記法でフローチャートも自動生成可能
ユースケース3: 定型レポートの自動生成
> 以下の月次データCSVから、経営会議向けの月次レポートを作成してください:
> - エグゼクティブサマリー(3行)
> - KPIの達成状況(表形式)
> - 前月比の変動が大きい項目のハイライト
> - 次月のアクション提案
ポイント:
- 毎月の定型作業を自動化
- 複数フォーマット(詳細版、サマリー版)の同時生成
- 前月レポートとの差分ハイライトも可能
ユースケース4: 多言語翻訳ワークフロー
> 以下の日本語ドキュメントを英語に翻訳してください。
> 翻訳のルール:
> - ビジネス文書として自然な英語にする
> - 社名は原文のまま残す
> - 対訳表も併せて作成する
ポイント:
- 翻訳会社への外注コスト削減
- 用語集を参照させて訳語の統一も可能
- 海外拠点との日常的なコミュニケーションに活用
ユースケース5: その他の活用可能性
以下を簡潔に紹介(各1分程度):
- 契約書の一次チェック補助: チェックリストに沿って重要条項を抽出。最終判断は必ず法務が行う
- RFP(提案依頼書)のドラフト作成: 標準構成に沿った網羅的なドラフトを自動生成
- KPIデータの整備: バラバラなフォーマットのデータを統一形式に変換
- 顧客リストのデータクレンジング: 表記ゆれの統一、重複の検出
- 補助金申請書のドラフト作成: 公募要領の構造化と申請書ドラフト生成
注: ここに挙げたユースケースは一例です。サブエージェントによるブレインストーミング結果を踏まえ、参加者の業務により近いユースケースを追加・差し替えてください。
4-2. ミニハンズオン: 一つ選んで試す(15分)
講師の発言例:
「今紹介した中から、一つ選んで実際に試してみましょう。 どれを選べばいいかわからない方は、『議事録の整理』がおすすめです。 最近の打ち合わせメモや、架空の会議メモを使って試してみてください。」
各ユースケースの簡易テンプレート(参加者ハンドアウトにも記載):
参加者に配布済みのハンドアウトを参照してもらう。
講師のサポートポイント:
- 自分の業務データを使いたい参加者がいたら、データプライバシーの注意事項(セクション2-4)を再確認
- 「何を試せばいいかわからない」という参加者には、議事録テンプレートを案内
- 成果物ができた参加者には「その結果をGitHubにpushしてみましょう」と促す(Session 1〜2の復習)
5. 振り返りと次回予告(15分)
5-1. 今日のまとめ(5分)
講師の発言例:
「今日は大きく3つのことを学びました。」
スライドまたはホワイトボード:
| 今日学んだこと | ポイント |
|---|---|
| データ分析 | CSVファイルを読み込ませて日本語で分析指示を出すだけ。Excelの関数やピボットテーブルの知識は不要 |
| データ可視化 | グラフもHTMLダッシュボードも、言葉で指示するだけで自動生成。デザインの調整も対話で可能 |
| さまざまなユースケース | リサーチ・資料作成・データ分析以外にも、議事録整理、マニュアル作成、翻訳など幅広く活用できる |
5-2. 振り返りディスカッション(5分)
問いかけ:
- 発見: 「今日の体験で、一番『これは使える!』と思ったことは?」
- 応用: 「明日からの業務で、すぐに試せそうなことはありますか?」
- 疑問: 「まだよくわからない点、不安な点はありますか?」
参加者の声を拾い、簡潔にコメントする。
5-3. 次回予告(5分)
講師の発言例:
「次回のSession 4は最終回です。 これまで学んだことを使って、皆さん自身の実際の業務課題に取り組みます。 いわば『卒業制作』のような回です。
次回までに、『Claude Codeで効率化・改善したい自分の業務タスク』を 一つ決めておいてください。 データ分析でも、資料作成でも、議事録整理でも、何でも構いません。 実際の業務データ(機密性に問題のない範囲で)を準備できるとベストです。」
宿題:
- 最終回で取り組む「自分の業務課題」を一つ決める
- 可能であれば、使用するデータやファイルを準備する
- 今日学んだデータ分析を、別のデータ(自分で作ったCSVなど)で試してみる
付録A: よくあるトラブルと対処法
| 問題 | 対処法 |
|---|---|
| CSVファイルが読み込めない | ファイルパスが正しいか確認。日本語ファイル名の場合は英数字に変更してみる |
| グラフの日本語が文字化けする | 「日本語フォントを指定してグラフを作り直してください」と再指示 |
| Pythonのライブラリがインストールできない | ネットワーク接続を確認。講師がpip installコマンドを直接実行して対応 |
| HTMLファイルがブラウザで開けない | ファイルの保存場所を確認。open ファイル名.html(Mac)または start ファイル名.html(Windows)で開く |
| 分析結果がおかしい | データの中身を再確認。「この結果が正しいか検証してください」とClaude Codeに依頼 |
| 処理に時間がかかる | 大きなデータの場合は「最初の100行だけで分析してください」と指示 |
付録B: 参加者のスキル差への対応
| 参加者のレベル | 推奨する課題 |
|---|---|
| 基本: まだ操作に不安がある | 売上データの月別集計のみ。一つずつ丁寧に進める |
| 標準: 基本操作は問題ない | 複数の分析 + グラフ生成。ミニハンズオンにも積極的に取り組む |
| 応用: 積極的に試したい | HTML形式のダッシュボード作成。自分の業務データでの分析に挑戦 |
付録C: 講師用チェックリスト(当日)
- サンプルCSVファイル(2ファイル)が配布済み
- 講師PCでデモが正常動作することを再確認
- Pythonのインストール確認スクリプトを準備
- HTMLファイルの表示確認済み
- プロジェクター/画面共有の動作確認
- Wi-Fi接続の安定性確認
- 参加者の進捗を記録するシート(誰がどこまで完了したか)を準備