Session 2: 業務タスクをエージェントに任せよう
今日やること
今日は、Claude Codeを使って2つの実践に取り組みます。
- デスクトップリサーチ: 情報を収集・整理してレポートを作る
- 提案資料の作成: リサーチ結果を基に資料のドラフト(下書き)を作る
そして、これらを通じて「AIエージェントへの効果的な指示の出し方」を身につけます。
今日の流れ
リサーチを依頼 → レポートが完成 → そのレポートを基に提案資料を作成 → 修正を繰り返して仕上げる
パート1: デスクトップリサーチ
基本の手順
- ターミナル(コマンドを入力する画面)を開く
- 作業用フォルダに移動する
cd ~/workshop
- Claude Codeを起動する
claude
- リサーチの指示を入力する
リサーチ依頼のテンプレート
以下のテンプレートを参考に、自分の業務に合わせてアレンジしてください。
テンプレートA: 市場調査
○○市場について調査レポートを作成してください。
## 調査してほしいこと
- 市場規模の推移と今後の予測(2024年〜2026年)
- 主要プレイヤー(主な企業)3〜5社の概要
- 今後の成長を牽引する要因
## レポートの条件
- 対象読者: ○○部門のマネージャー
- 分量: 2000〜3000字程度
- ファイル名: market-research.md
- 調査データには必ず出典(情報源のURL等)を明記すること
Webで最新の情報を検索してください。
テンプレートB: 競合分析
○○社と△△社のサービスを比較分析してください。
## 比較してほしい観点
- 主な機能と特徴
- 料金体系
- ターゲット顧客層
- 強みと弱み
## レポートの条件
- 比較表を含めること
- 対象読者: 営業チーム
- 分量: 1500〜2000字程度
- ファイル名: competitor-analysis.md
- 調査データには必ず出典を明記すること
Webで最新の情報を検索してください。
テンプレートC: トレンド調査
○○に関する最新トレンドを調査し、レポートを作成してください。
## 調査してほしいこと
- 注目すべきトレンドを3つ挙げ、それぞれ解説する
- 各トレンドのビジネスへの影響
- 先進企業の取り組み事例(各トレンドにつき1社以上)
## レポートの条件
- 対象読者: 経営企画部門
- 分量: 2000〜3000字程度
- ファイル名: trend-report.md
- 調査データには必ず出典を明記すること
Webで最新の情報を検索してください。
出典の確認方法
AIが作成した情報には、事実と異なる内容が含まれることがあります。これを「ハルシネーション」(もっともらしいが誤った情報をAIが生成してしまうこと)と呼びます。
確認すべきポイント:
- レポートに出典(URLなど)が記載されているか
- 記載された出典のURLを実際にブラウザで開いて内容を確認する
- 数字やデータ(市場規模、成長率など)は特に慎重にチェック
- 出典がない場合は、Claude Codeに「出典を追加してください」と追加指示する
パート2: 提案資料の作成
基本の手順
- パート1で作成したリサーチのファイルがフォルダにあることを確認する
- そのファイルを「参考に」という指示と共に、提案資料の作成を依頼する
提案資料のテンプレート
テンプレートA: 顧客向け提案書
○○.md の内容を参考に、顧客向けの提案書ドラフトを作成してください。
## 提案書の概要
- 提案先: ○○社(業種: ○○、従業員数: ○○名)
- 提案内容: ○○の導入
- ファイル名: proposal-draft.md
## 含めてほしい内容
1. 表紙(タイトル、日付、提案元の社名を記入する枠)
2. エグゼクティブサマリー(提案の要点を3行程度で)
3. 背景(市場動向やお客様の課題)
4. 提案内容の詳細
5. 導入スケジュール(3ヶ月の目安)
6. 期待される効果(できるだけ数字で示す)
7. 概算費用
8. 次のステップ
## 文体
- ビジネスフォーマル(「です・ます」調)
- 専門用語には括弧書きで説明を添える
- 読者はITに詳しくない経営者を想定
テンプレートB: 社内提案書
○○.md の内容を参考に、社内向けの施策提案書を作成してください。
## 提案書の概要
- 提出先: ○○部門の責任者
- 提案内容: ○○の導入/実施
- ファイル名: internal-proposal.md
## 含めてほしい内容
1. 提案の趣旨(なぜこの提案をするのか)
2. 現状の課題
3. 提案する施策の内容
4. 期待される効果
5. 必要なリソース(人員、予算、期間)
6. リスクと対策
7. 実施スケジュール
## 文体
- 社内文書として適切なトーン
- データに基づいた説得力のある内容にする
ファイルの参照方法
Claude Codeは、今いるフォルダ内のファイルを読み書きできます。
| やりたいこと | 指示の例 |
|---|---|
| ファイルの内容を確認 | ○○.md を読んで内容を要約して |
| ファイルを参考に新規作成 | ○○.md を参考に△△を作成して |
| 複数ファイルを比較 | ○○.md と△△.md を比較して |
| ファイルの一部を修正 | ○○.md の「背景」セクションを書き直して |
| フォルダ内のファイル一覧 | このフォルダにあるファイルを見せて |
効果的な指示のチェックリスト
Claude Codeに指示を出す前に、以下のポイントを確認しましょう。
基本の5W1H
- 何を — 何を作ってほしいのかが明確か(レポート、提案書、比較表、etc.)
- 誰に — 対象読者は誰か明記したか(経営者、営業チーム、技術者、etc.)
- なぜ — 何のために使うのか伝えたか(経営会議、顧客提案、社内共有、etc.)
- どのくらい — 分量を指定したか(2000字程度、A4で2ページ、etc.)
- どのように — 形式や条件を指定したか(ファイル名、フォーマット、出典の有無、etc.)
- いつの情報 — 情報の時期を指定したか(2024年以降、最新の、etc.)
品質を上げる追加要素
- ペルソナ — Claude Codeにどんな役割を期待するか伝えたか
- 例: 「あなたはSaaS業界に詳しいコンサルタントとして」
- トーン — 文章のトーンを指定したか
- 例: 「ビジネスフォーマル」「わかりやすくカジュアルに」
- 具体例 — 含めてほしい要素を箇条書きで示したか
- 出典 — データや事実には出典の明記を求めたか
- 参考ファイル — 参照すべき既存ファイルがあれば指定したか
修正指示のコツ
- 具体的に — 「もっと良くして」ではなく「何をどう変えるか」を明示
- 場所を特定 — 「全体を」ではなく「○○のセクションを」と範囲を絞る
- 理由を添える — 「経営者が読むので、専門用語を減らしてください」
Good/Bad 指示例集
リサーチ依頼
| 指示例 | |
|---|---|
| Bad | AI市場について調べて |
| Good | 日本国内のAI市場規模について、2024年〜2026年のデータを調査し、成長率と主要プレイヤーをまとめてください。対象読者は経営会議の参加者で、A4で2ページ程度の分量にしてください。出典を必ず明記してください。 |
Goodのポイント: 範囲(日本国内)、期間(2024-2026年)、内容(成長率と主要プレイヤー)、読者、分量、条件(出典)をすべて明示
資料作成依頼
| 指示例 | |
|---|---|
| Bad | 提案書を作って |
| Good | 顧客であるA社(製造業、従業員200名)向けに、クラウド会計ソフト導入の提案書ドラフトを作成してください。market-research.md を参考データとして使ってください。提案書には、導入メリット、想定スケジュール(3ヶ月)、概算費用を含めてください。ファイル名は proposal-a-company.md としてください。 |
Goodのポイント: 顧客情報、参考ファイル、含める内容、ファイル名を具体的に指定
修正依頼
| 指示例 | |
|---|---|
| Bad | もっと良くして |
| Good | proposal-a-company.md の「導入メリット」セクションに、定量的な効果(作業時間の削減率、コスト削減額の概算)を追加してください。また、「想定スケジュール」を表形式に変更してください。 |
Goodのポイント: ファイル名、修正箇所、修正内容を具体的に特定
トーン・文体の変更
| 指示例 | |
|---|---|
| Bad | もうちょっとフォーマルに |
| Good | 全体のトーンをビジネスフォーマルに変更してください。「です・ます」調に統一し、口語的な表現(「すごく」「ちょっと」等)を「大幅に」「若干」等のフォーマルな表現に置き換えてください。 |
Goodのポイント: 「フォーマル」の定義を具体例で示している
レビュー依頼
| 指示例 | |
|---|---|
| Bad | これチェックして |
| Good | proposal-a-company.md を以下の観点でレビューしてください:(1) 数字やデータに矛盾がないか (2) 論理の流れに飛躍がないか (3) 誤字脱字がないか。問題があれば具体的に指摘して、修正案を提示してください。 |
Goodのポイント: レビューの観点を具体的に列挙し、期待するアウトプットも明示
CLAUDE.mdテンプレート
毎回同じ指示を繰り返さなくて済むように、CLAUDE.md(AIエージェントへの指示書ファイル)にプロジェクト共通のルールを書いておくことができます。
以下を参考に、自分の業務に合わせてカスタマイズしてください。
# プロジェクト設定
## 基本ルール
- 成果物はすべて日本語で作成する
- ファイルはMarkdown形式で保存する
- ファイル名は「YYYY-MM-DD-内容の概要.md」の形式にする
- 専門用語には必ず括弧書きで平易な説明を添える
- データや事実を記載する場合は、出典(情報源のURL等)を明記する
## 文書スタイル
- トーンはビジネスフォーマル
- 「です・ます」調で統一する
- 対象読者はITに詳しくないビジネスパーソン
## 出力ルール
- レポートは2000〜3000字程度を目安とする
- 見出し、箇条書き、表を効果的に使って読みやすくする
CLAUDE.mdを作成するには、Claude Codeで以下のように指示します:
CLAUDE.mdを上の内容で作成してください
覚えておきたい考え方
一度で完璧を目指さない
①ざっくり指示する → ②結果を見る → ③修正を指示する → ④結果を見る → ⑤さらに修正…
人間のチームメンバーに仕事を依頼するのと同じです。最初から完璧な指示を書ける人はいません。素早くサイクルを回すことが大事です。AIエージェントは何度やり直しを頼んでも嫌な顔をしません。
リサーチ結果は必ず人間が確認する
AIが作った情報を鵜呑みにしないでください。特に:
- 数字やデータは出典を確認する
- 企業名や製品名が実在するか確認する
- 重要な判断に使う情報は一次ソース(元の情報源)にあたる
AIエージェントが得意なこと・苦手なこと
| 得意 | 苦手 |
|---|---|
| 情報の収集と整理 | 社内の非公開情報の把握 |
| 文書の構造化とドラフト作成 | 微妙なニュアンスの判断 |
| 複数の観点からの比較 | 最新すぎるニュースの反映 |
| 大量のテキストの要約 | 人間関係を考慮した表現調整 |
| 定型的なフォーマットへの整形 | 自社固有のルールや文化の反映 |
用語集
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| ターミナル | コマンド(命令文)を入力してPCを操作する画面。「黒い画面」とも呼ばれます |
| Markdown(マークダウン) | テキストに見出しや箇条書きなどの書式を付けるためのシンプルな記法。# で見出し、- で箇条書きを表現します |
| CLAUDE.md | Claude Codeに対するプロジェクト共通の指示書ファイル。ここに書いた内容が毎回自動的に適用されます |
| ハルシネーション | AIがもっともらしいが事実と異なる情報を生成してしまうこと。データや固有名詞は特に注意が必要です |
| ドラフト | 下書きのこと。まずドラフトを作り、そこから修正を重ねて完成させます |
| プロンプト | AIへの指示・入力文のこと。「プロンプティング」は効果的な指示を書く技術のことです |
| 出典 | 情報の元となるソース(情報源)。URLや文献名で示します |
| フォルダ(ディレクトリ) | ファイルを整理して入れておく場所。ターミナルでは「ディレクトリ」とも呼びます |
次回予告
次回(Session 3)では、Git(ファイルの変更履歴を管理するツール)の基本 を学び、 チームでの共同作業の方法を身につけます。
宿題(任意)
- Claude Codeで自分の業務に関連するリサーチを1つ実施する
- リサーチ結果を基に、何らかの資料のドラフトを1つ作成する
- CLAUDE.mdに自分の業務で使いそうなルールを2〜3個追加する